JRS会員の皆様へ
ニュージーランド・ツツジ・シャクナゲ協会(NZRA)創立70周年記念
国際ツツジ・シャクナゲ大会参加、及びツツジ・シャクナゲ庭園視察報告
                                                        1195  藤 原 勝 壽  (香川)

「 は じ め に 」
  ニュージーランド・ツツジ・シャクナゲ協会は創立70周年を迎え、こ
れを記念して、南島要衝の地・ダニーデンで国際ツツジ・シャクナゲ大会
が開催された。世界各国から230名の参加があり盛会であった。当協会か
拝聴し、午後は地元の植物園やプライベート・ガーデンの見学で、肩の凝
らない配慮が有り難かった。興味を引いた講演は、ドイツ・ブレーメンの
シャクナゲ・パークの責任者Dr. H. Schepker 氏のインド東北部Arunachal
Pradeshの探検で珍しいシャクナゲを発見したお話をいただいた。
また、米国・シアトルのシャクナゲ・原種財団の責任者Dr. S. Hootman氏
の20年間にわたるシャクナゲ探検のトピックスのお話等々、世界レベルで
著名なシャクナゲ専門家の探検談を写真映像で講演を拝聴した。昼前の、11時過ぎには会場を出発して、昼食は大人数でも楽に収容できる設備が
整っている近郊のラグビーチーム・クラブハウスであった。午後はダニーデン近郊のツツジ・シャクナゲ庭園視察のバス・ツアーである。言葉の
壁はあったものの、シャクナゲの見聞を広めることができ、ホスピタリティの豊かな楽しい一週間であった。

 今回のNZ国際シャクナゲ大会を主宰されたT. Fitchett氏は、ダニーデンでご活躍のホームドクターであり、ニュージーランドの代表的ヘルス
センターの一つであるモミングトン・ヘルスセンター所長でもある。氏は奥様とともにプライベートガーテンであるウッドランド・シャクナゲ
ター園を設立している。さらに、NZシャクナゲ協会に35年間所属しており、5年前から理事に就任されている。NZ国際シャクナゲ大会を献身的に
主宰され、そのご苦労に対して心より感謝申し上げたい。  【各写真をクリックすると拡大写真を見る事が出来ます。】

開会風景(2014.10.20)

 講演会場風景



プログラム及び視察日程(2014年10月20日(月) – 10月24日(金))
【10月20日(月)】1日目
12.30pm   受付け開始、ダニーデンセンター

 6.00pm   飲み物とスナックの後、ダニーデン市長の歓迎の言葉があり、ダニーデンの自然が紹介された。日本での緯度のイメージは、NZ北島が東北地方、
NZ南島が北海道に位置するものと思われる。
「シャクナゲ国際会議の開会と歓迎のことば」、ダニーデン市長Dave Cull氏
「ダニーデンの自然と植生」、Neville Peat氏


【10月21日(火)】2日目
8.30am 「インド東北部の知られざるツツジ・シャクナゲの探検」
~ Arunachal Pradeshのミステリー ~、Hartwig Schepker氏

 H. Schepker氏は、ドイツ・ブレーメン植物園のシャクナゲ・パークの学術的総責任者である。同シャクナゲ・パークは、世界でも有数のコレクションを誇
り、耐暑性・耐寒性原種シャクナゲ及び交配種シャクナゲ等を収集している。さらに、氏はドイツシャクナゲ協会の責任者であり、会誌「Rhododendron und
Immergrune」の発行責任者でもある。氏は、アジアや北アメリカへのシャクナゲ調査に行っており、特にインド東北部Arunachal Pradeshへは3回も探検して
いる。今回の講演では、同地域の探検報告であり、新種発見にも言及された。
ちなみに、同地域の探検は、2000年にK. Storm & K. Cox、2002年にP. Cox & K. Cox、2003年にK. Cox, S. Hootman & K. Storm、2004年にP. Cox、2005年に
K. Cox & S. Hootman、2006年にP. Cox、2008年にK. Rushforth、2009年にJ. Petton、2009,2010-2014年にJ. Roy & H. Schepker等々が頻繁に探検しており、
これらの成果が英国、米国、ドイツ等のシャクナゲ普及に貢献しているものと思われる。
  9.30am お茶の時間
 10.00am 「20年間の野生種ツツジ・シャクナゲのハイライト」、Steve Hootman氏
S. Hootman氏は、米国・シアトルにあるシャクナゲ原種財団の総責任者である。氏はパデュー大学からの学位を有しており、同原種財団の世界でも有数の原種
シャクナゲの収集とその管理に貢献している。氏は、アジア地域での十数回の探検を行い、シャクナゲに関する世界でも有数の権威者である。氏はシャクナゲ
に関する多数の文献や写真を雑誌や本にして発行するとともに、植物学的・園芸学的に広く講義している。
今回の講演では、20年間のシャクナゲ探検経験をもとに、ハイライト的なものに絞って紹介された。
 11.15am  庭園見学バス・ツアー「Tannock Glen」
ダニーデンのツツジ・シャクナゲ・グループがお世話している1975年設立のシャクナゲ庭園を見学した。手入れの行き届いたツツジ・シャクナゲ類が多数植栽
されており、年期の入った大きな木が目立つ。原種名称の表示銘板もしっかりしており、見学者への配慮がうかがえた。
「Tannock Glen」 の入口 R. falconeri R. edgeworthii

ハンカチの木と遊歩道 R. yakushimanum R. decorum

 12.30pm  昼食(ラグビーチーム, Alhambra-Unionにて)
 1.30pm  庭園見学バス・ツアー 「Dunedin Botanic Garden」
1863年設立のダニーデン市立植物園を見学した。樹齢100年のシャクナゲ、各種原種シャクナゲ、各種交配種、ロックガーデン及びニュージーランドの国木等
を見学した。
ダニーデン植物園にて ニュージーランド国木「Sophora fulvida」 シャクナゲ庭園風景

樹齢100年シャクナゲの木 R. thomsonii R. bureavii

R. griffithianum R. macabeanum

 4.00pm   バスでホテルへ
 6.00pm   ビッフェ・夕食 (ダニーデンセンターの会場にてバイキングスタイル)


【10月23日(火)】3日目
 8.30am ニュージーランド・ツツジ・シャクナゲ協会総会(自由参加)
 9.00am  「ツツジ・シャクナゲの交配種について」、Denis Hughes氏
 10.00am  お茶の時間 (Morning tea)
 10.30am 「ドイツにおけるシャクナゲの作出と保存(育苗)について」~庭園・プライベイトガーデン・ナーセリーのちょっと変わったネットワー
      ク~、Hartwig Schepker

 H. Schepker氏の講演では、ナーセリー10、植物園13、プライベート・ガーデン12、公園11の組織がネットワークを形成して、お互いに連携してツツジ・
シャクナゲの普及啓発を図っているというものであった。また、接ぎ木技術にも言及され、茎の断面接ぎではなく、茎の側面接ぎの技術で大量生産をしてい
るお話をされた。

ドイツの連携組織 側面接ぎ木手法

 11.30am   個人庭園見学バス・ツアー「Lindenfield」
リンデンフィールドの庭園を見学した。今回の国際大会を主宰されたブロン&トニー・フィチェット氏ご夫妻の個人庭園で、1972年3.5エーカーで作庭
し、1992年5エーカー追加して作庭しており、大葉シャクナゲが見どころであった。

大葉シャクナゲ 大葉シャクナゲ 大葉シャクナゲ

R. zeylanicum R. lindleyi フィチェット庭「Lindenfield」にて
以上の外に、次のような原種シャクナゲを見学した。交配種も多数植栽されていたが本稿では省略する。

R.lindleyi, R. ca1ophytum, R. griffithianum, R. degronianum, R. semnoides, R. macabeanum, R. arboreum, R. delavayi, R. genesteianum,
R. wardii, R. grande, R. burmanicum, R. sinogrande, R. edgeworthii, R. maddenni, R. campanulatum, R. magnificum, R. falconeri,
R. eximium, R. meddianum, R. triflorum, R. augustinii, R. makinoi, R. praevernum, R. serotinum, R. glanduliferum, R. dalhousiae,
R.augustinii

 1.15pm   昼食 (ラグビーチーム, Alhambra-Unionにて)
 2.30pm   個人庭園見学バス・ツアー
  「Gretchen and John Henderson」「Patti and John Matheson」
    グレチェン&ジョン・ヘンダーソンご夫妻の個人庭園見学
    パッティ&ジョン・マシソンご夫妻の個人庭園見学

  マシソンご夫妻の個人庭園見学では、交配種のシャクナゲが多いように思われた。原種シャクナゲとしては、次に示すものを見学した。

     R. decorum, R. lindleyi, R. augustinii, R. macabeanum, R. arboreum
 5.00pm  5時頃ホテル帰着、夕食各自
 6.00pm Dr Niranjan Sharma氏私邸訪問
Sharma邸にて ティーをいただく


【10月23日(木)】4日目
 9.30am 庭園見学バス・ツアー「ラナッハ城見学」お茶、昼食含む

ラナッハ城を背景に記念撮影

Sharmaご夫妻とラナッハ城にて

ラナッハ城を背景に一休み 左からFitchett, Schepker, 井上,藤

 1.00am 庭園見学バス・ツアー

     Glenfalloch Woodland Garden:ジョン&スーザン・チャンバーご夫妻の個人庭園見学

 2.00pm   個人庭園見学バス・ツアー
    398 Portobello Road John and Susanne Chambers:ジョン&スーザン・チャンバーご夫妻の個人庭園見学
    396 Portobello Rd Barbara and Gerry Wilkins:バーバラ&ゲリー・ウィルキンスご夫妻の個人庭園見学
 4.00pm   宿泊ホテルへ帰着
 6.00pm   バンケット・晩餐会 (大会会場にて


【10月24日(金)】5日目
 8.30am  個人庭園見学バス・ツアー 
     Ashburn Garden:牧場主のアッシュバーン庭園を見学した。1880年作庭、1950年にシャクナゲ庭園に改装した。現在は、エブリン&トレバー・
     ミラーご夫妻が数百種類のシャクナゲを植栽している。
 10.30am 個人庭園見学バス・ツアー
      Broxburn Park:ブロックスバーン公園を見学した。1864年に船長を退職した方が作庭した40エーカーの公園である。
 12.00am  昼食と国際大会総括(ラグビーチームのOutram Hallにて)
  1.30pm 大会バスにてダニーデン空港へ
  謝  辞
 旅行行程において円滑な視察ができましたのは、渉外の役割をお引き受けいただきました井上副団長のお蔭と思います。ここに深甚なる謝意を表します。
更に、旅行手配でお世話になりました㈱日本橋トラベラーズクラブ(東京都中央区日本橋兜町)に感謝の意を表します。